男性の着物は冬どう選ぶ?袷・羽織・必要な物を初心者向けに解説

男性の着物は冬どう選ぶ?袷・羽織・必要な物を初心者向けに解説 ファッション

冬に男性が着物を始めるなら|結論は「袷+羽織+角帯+足袋」

12月に男性用の着物を初めて着るなら、まず覚えたい組み合わせは「袷(あわせ)仕立ての長着に羽織を重ね、角帯を締め、足袋を履く」というものです。

ここに襦袢・肌着・腰紐・履物が加わると、外出できる装いになります。

名前が多くて難しそうに見えますが、洋服に置き換えると上着・シャツ・ベルト・靴下・靴にあたる物がほとんどです。

この記事では、冬に着ることを前提に、種類と名称、格の違い、必要な物、素材とお手入れ、サイズ、買い方の順に整理します。

お正月や式典に着たい方も、普段着として始めたい方も、ご家族の着物を探している方も、自分の状況に近いところから読み進めてください。

POINT 12月は裏地のある「袷」を選びます。羽織・角帯・足袋を加え、肌着・襦袢・腰紐・履物をそろえれば、最初の一式は完成です。

12月に着るのは「袷」仕立て|袷・単衣・夏物の季節の違い

着物には、仕立て方の違いによって着る季節が分かれています。

裏地のある仕立てが「袷」、裏地のない仕立てが「単衣(ひとえ)」、さらに生地そのものが薄く透け感のある「薄物(夏物)」があります。

12月は、このうち袷の季節です。

種類 特徴 着る時期の目安
袷(あわせ) 表地に裏地が付いた仕立て。保温性があり、秋冬の定番 10月ごろから5月ごろまで
単衣(ひとえ) 裏地のない仕立て。軽くて通気性がよい 5月ごろから9月ごろまでのうち、特に6月と9月が中心
薄物(絽・紗・麻など) 透け感のある涼しい生地の夏物 7月・8月の盛夏

時期の目安は、地域や気温、その年の気候で前後します。

近年は気温や体感に合わせて柔軟に選ぶ人も増えていますが、12月に単衣や夏物を着ると、見た目の季節感と寒さの両面で合いにくくなります。

初めての1着は、迷わず袷を選んでおくと安心です。

袷は裏地がある分、洋服でいえば秋冬用の厚手の生地にあたります。

暖房の効いた室内では暑く感じることもあるため、羽織を脱ぎ着して調整できる形にしておくと快適に過ごせます。

通販などでは、袷の着物と羽織に裏地が付いた「袷のセット」として並んでいることがあります。商品説明で仕立てを確認すれば、季節の間違いを防げます。

初心者が最初の1着を決める3ステップ

「何から決めればよいか分からない」という方は、次の3ステップで考えると整理しやすくなります。

  1. 着る場面を決める:結婚式や式典などの礼装が必要か、普段着や街歩きかを先に決めます。
  2. 季節と素材を決める:12月なら袷にします。お手入れの手間をどこまで許せるかで、正絹・ウール・化繊を選びます。
  3. サイズと買い方を決める:身長や体格に合う既製品か、体型に合わせたオーダーかを選びます。通販・中古・レンタルのどれが合うかもここで考えます。

順番が大切なのは、場面によって着物の格が変わり、格によってそろえる物も変わるからです。

たとえば普段着なら、紬やウールの長着に羽織と角帯の組み合わせで十分です。礼装では、黒紋付の羽織袴などが必要になります。

はじめての方で、特に決まった場面がない場合は、着流しで外出できるカジュアルな袷に、羽織を足す形から始めるのが無理のない進め方です。

着物と帯だけで着る姿は「着流し」と呼ばれ、男性ならではの和装の形です。着慣れてきてから羽織や袴を加えて、装いの幅を広げる方法もあります。

▶ 動画で確認:男着物の選びかたを見る

着物の専門家であるすなおさんが、男着物専門店の協力で、ご主人の着物選びを約20分かけて見せています。場面や素材から最初の1着を決める流れの参考になります。

出典:すなおの着物チャンネル/Kimono-Sunao「男着物の選びかた|ご主人が着物男子に変身!」(YouTube・約20分)

男性着物の種類と名称|長着・紬・袷をまず整理

着物の世界では、同じ物を指す言葉が複数あったり、似た言葉が別の意味だったりして、混乱しやすいものです。

ここでは、検索や買い物でよく出てくる言葉を、意味ごとに整理します。

用語を知っておくと、商品説明の読み取りや店頭での質問がしやすくなります。

大きな整理の軸は「着物のどの部分・どの物を指す言葉か」「どう作られた生地か」「いつ着る仕立てか」の3つです。

長着とは?羽織・襦袢・帯との関係

一般に「着物」と呼ばれる本体は、正式には長着(ながぎ)といいます。

着物と帯だけで成り立つ着流し姿でも、最低限必要なのはこの長着と帯です。

長着には、先ほど述べた袷・単衣・薄物という仕立ての違いがあります。

着物は一枚の反物を直線的に裁って縫う衣服なので、洋服のように体の線に沿った形ではありません。そのため、着付けで調整しやすく、体型に左右されにくい面があります。

男性は、女性のように腰で丈を折り上げる「おはしょり」をしません。着流しの場合は、足首が隠れる程度の丈に整えるのが目安です。

長着のまわりに重ねる物の関係は、次の表のとおりです。

名称 位置づけ 洋服にたとえると
長着 着物の本体 シャツ・スーツの中心になる服
羽織 長着の上に重ねる上着 ジャケット
道行コート 外出時の防寒・防風用の和装コート コート
襦袢 長着の下に着る和装用の下着 インナーシャツ
帯 長着を留める細長い布 ベルト

襦袢には、足首までの長さの「長襦袢」、腰下までの「半襦袢」、Tシャツのような「肌襦袢」があります。

長襦袢は長着の裾や袖口からわずかに見えるため、色や柄で隠れたおしゃれを楽しめる物でもあります。

▶ 動画で確認:男着物の着方|襦袢から羽織まで

男着物専門店の加藤商店が、長襦袢、長着、角帯の貝ノ口結び、羽織の着方までを順に実演しています。長着のまわりに何を重ねるかを、実際の着付けで確かめられます。

出典:男着物の加藤商店「【男着物の着方・着付け】初心者向けに帯の結び方まで簡単に解説します」(YouTube・約8分)

織りの着物と染めの着物、紬とは

着物は、生地の作り方で「織りの着物」と「染めの着物」に大きく分けられます。

糸を先に染めてから織り上げるのが織りの着物、織り上げた白い生地に後から色や模様を染めるのが染めの着物です。

一般に、フォーマルな場では羽二重やちりめんなどの染めの着物が使われます。普段着やおしゃれ着には、織りの着物が選ばれます。

紬(つむぎ)は織りの着物の代表です。生地にハリがあり丈夫で、所々に「節(ふし)」と呼ばれる素朴なこぶのような風合いがあります。

「お召」も織りの着物のひとつで、紬と同じく張りのある丈夫な生地として知られています。

紬は無地・縞・絣など落ち着いた柄が多く、着こなしやすく着心地の良い着物で、まず着物に慣れたい方にはお薦めです。

ただし、ひとことで紬といっても、素材や仕立ての違いで価格も扱い方も幅があります。商品を見るときは、仕立て(袷か単衣か)と素材(正絹・ウールなど)を必ず合わせて確認してください。

なお、紬やお召でも、無地に紋を付けると格が上がり、略礼装として着られる場合があります。これは次の章で説明します。

着物の格の違い|礼装・準礼装・普段着とシーン別の選び方

着物の格の違い|礼装・準礼装・普段着とシーン別の選び方

着物には「格」という考え方があり、場面にふさわしい装いの目安になっています。

男性の格は、女性のように未婚・既婚で分かれることがなく、大きく「礼装」「準礼装・略礼装」「洒落着・外出着(普段着)」の3段階で考えると分かりやすくなります。

洋服にたとえるなら、礼装は第一礼装の装い、準礼装・略礼装はタキシードにふさわしい場面や、それに準じた装い、洒落着・外出着は私服にあたります。

格 代表的な着物 主な場面
礼装(第一礼装) 黒羽二重五つ紋付の羽織・袴 冠婚葬祭・式典
準礼装・略礼装 色紋付、お召や紬の無地に紋を付けた物 披露宴・パーティーなど
洒落着・外出着 紬・ウール・木綿・デニムなど 普段着・街歩き・趣味の外出

礼装と準礼装|黒紋付と色紋付

男性の最も格の高い装いは、黒羽二重五つ紋付(略して黒紋付)の羽織に袴を合わせた姿です。

背中・両袖の後ろ・両胸元の5か所に紋が入り、素材は正絹が一般的です。年齢を問わず着られる、男性の正式な和装です。

帯は、金や銀の糸を使った絹の角帯を合わせるのが礼装の考え方で、足元には白い足袋と、白くなめした革の鼻緒を付けた雪駄を使います。

これに次ぐ準礼装・略礼装が「色紋付」です。黒以外の色で、紋の数は五つ紋・三つ紋・一つ紋があります。

五つ紋を付けた色紋付は、婚礼衣装として新郎が着ることもできる格の高い着物です。

色紋付の素材には、羽二重・紋綸子・縮緬などがあります。白・グレー・茶・紺など、落ち着いた色で個性を出せるのが特徴です。

お召や紬の無地に三つ紋・一つ紋を付けると、外出着より格が上がり、略礼装として着られることがあります。

紋が多いほど格が上がるという考え方なので、迷ったときは、紋の数と生地の種類を確認してください。

洒落着・外出着|紬・ウールなど普段着の着物

洒落着・外出着は、最も気軽に楽しめるカジュアルな格です。

素材は紬、ウール、江戸小紋、上布、麻、木綿、デニムなど幅広く、夏の浴衣もこの仲間に入ります。

羽織を着ない着流しで出かけることも、野袴を合わせて動きやすくすることもできます。

初めて着物に袖を通す男性には、ウールの着物が気軽に着られてくつろげる選択肢として紹介されています。

紬は外出着の定番です。結城紬や大島紬のような織りの着物は、無地・縞・絣など、織りの表情を楽しめます。

紬を外出着として着るときは羽織を加え、招待を受けた場などでは袴をつけるとより丁寧な印象になります。

襟元や長襦袢の代わりに、スタンドカラーのシャツで書生風にしたり、タートルネックで着崩したりする個性的な着こなしも、洒落着の範囲では楽しめます。冬の防寒にもつながる工夫です。

結婚式・成人式・普段着で選ぶ着物の違い

場面ごとに、どの格を選べばよいかをまとめます。

場面 選ぶ格の目安 ポイント
結婚式(新郎・親族など主催側) 礼装〜準礼装 黒紋付羽織袴が最も格が高い。五つ紋の色紋付は新郎の婚礼衣装としても着られる
結婚式・披露宴(招待客) 準礼装・略礼装 洋装でいえばタキシードなどにふさわしい場面向け。色紋付や、紋付のお召・紬の無地が目安
成人式などの式典 礼装・準礼装の羽織袴 式典では羽織と袴を合わせるのが基本。迷うときは主催者や周囲の装いを確認する
普段着・街歩き・初詣 洒落着・外出着 紬やウールの袷に羽織と角帯。袴は任意

結婚式では、主役の新郎や両家の装いより目立たないように格を考えることが大切だといわれます。

着物と羽織の組み合わせは、洋装でいえばスーツに相当する無難な格として紹介されることがあります。

ただし、第一礼装として着る場合は、黒紋付の羽織・袴を合わせるのが望ましいとされています。

成人式やお正月の式典では、羽織と袴を合わせる装いが基本の形です。

普段着として始める場合は、格式のルールを気にしすぎる必要はありません。ただし、お祝いごとや式典に紬の着流しで出かけると、場にそぐわないことがありますので、あらかじめ場面を確認しておくと安心です。

着るのに必要な物一式|羽織・帯・袴・足袋・履物の選び方

着るのに必要な物一式|羽織・帯・袴・足袋・履物の選び方

着物を着るために必要な物は、多く感じても、役割で整理すればシンプルです。

まず「最低限そろえる物」、次に「外出に加えると安心な物」、最後に「場面で必要になる物」の順に考えるとよいでしょう。

初心者向けには、必要な物がまとめて入ったセットが各所で販売されています。

ここでは1点ずつ、選ぶときの考え方を説明します。

最低限そろえる物|長着・帯・襦袢・肌着・腰紐

着物の姿を成り立たせる最小限は、長着と帯です。

実際に着るとなれば、その下に着る物と、前を留める物が必要になります。

アイテム 役割 選び方のヒント
長着 主役の着物 冬は袷。礼装でなければ洒落着・外出着から
帯 長着を留める 外出なら角帯が幅広く使える
長襦袢 長着の下に着る下着。汗や皮脂の汚れや着崩れを防ぐ 色柄で隠れたおしゃれも可能。長着との色合わせを考える
肌着(肌襦袢・ステテコなど) 肌に直接着る 洋装のシャツやトランクスでも代用可能
腰紐 長襦袢と長着を留める 基本は2本。伊達締めや男締めで代用する場合もある

襦袢は素材に絹・木綿・麻・化繊などがあります。

長襦袢には半衿が付きます。男性は女性のように衿を抜く着付けをしないので、衿芯は基本的に不要です。

肌着は、洋装用のシャツで代用することもできます。ただ、和装専用の肌襦袢には、体型を整えて着崩れを防ぐ役割もあるといわれています。

腰紐は、長襦袢の上に1本、長着の上に1本の計2本を使うのが基本です。

腰紐よりやや幅の広い「男締め」を使うと、腰まわりをしっかり固められます。

初めての方は、これらがまとまって入っている着物セットを選ぶと、買い忘れを防げます。

帯の種類と格|角帯と兵児帯

男性の帯は、基本的に角帯と兵児帯(へこおび)の2種類です。

角帯は生地に厚みと硬さがあり、礼装から外出着まで幅広く使えます。

兵児帯は柔らかく軽い締め心地で、くつろぎ用の簡易的な帯として位置づけられます。

帯 特徴 合う場面
絹の角帯 金・銀の糸を使った物は礼装用 礼装・準礼装
木綿・紬・化繊などの角帯 丈夫で締めやすい 外出着・街着
兵児帯 柔らかく軽い 家でのくつろぎ・カジュアルな装い

外出に兵児帯を合わせると、カジュアルすぎる印象になることがあります。

用途を選ばず使いやすいので、最初の1本は角帯がおすすめです。

角帯は、袴を着けず着流しで着るときの定番でもあり、帯の色や質感で着物の印象も整えられます。

冬に頼れる羽織と道行コート|外出着に羽織は必要か

羽織は、長着の上に重ねる和装の上着です。

着流しのまま外出しても問題はありませんが、羽織を足すと、外出着らしいきちんとした印象になり、フォーマル感も加わります。

冬に外出するなら、防寒の意味でも、羽織は実用的に役立ちます。

一般的な羽織は、膝下くらいまでの丈の「中羽織」です。衿を立てず、首の後ろで自然に二つ折りにして着ます。

より気軽に使いたい場合は、袖のない「袖無し羽織」も便利な選択肢です。

礼装の羽織は紋付が基本です。洒落着・外出着として着る羽織には、紋がなくて構いません。

羽織の内側の「羽裏」は、見えないところで楽しむおしゃれのポイントです。

羽織紐は、前を留めるための紐で、洋装のネクタイにたとえられることもあります。形状には「平打ち」「丸組み」「無双」などがあります。

さらに寒い日や雨風の日には、道行コートが使えます。道行は防寒・防風用の和装コートで、衿が角ばっているのが特徴です。

冬は、長着の上に羽織を重ね、必要に応じて道行コートを加える着方も可能です。

結論として、外出着に羽織は「必須」とまではいえません。それでも、冬の外出や式典では、羽織があると安心です。最初は無地で、落ち着いた色の羽織を選ぶと、手持ちの長着に合わせやすくなります。

▶ 動画で確認:男性用の羽織ひもの結び方

着付け師の彩笑さんが、男性の羽織ひもの結び方を手元で見せています。羽織を足すときに、ひもが外れても慌てず結び直す助けになります。

出典:彩笑ちゃんねる「37【着付け師向け】羽織ひもの結び方 男性着物用 How to tie a haori string」(YouTube・約6分)

袴の種類と着るシーン|羽織袴・野袴

男性の和装では、正装や礼装のときに欠かせない物ですが、礼装だけの物ではなく、普段にも広く愛用されてきました。

袴を着けると活動的になり、背筋が伸びて存在感も増すといわれています。

代表的な着方は次の2つです。

  • 羽織袴:長着に羽織と袴を合わせる装いです。黒紋付の羽織袴は第一礼装で、結婚式や式典に向きます。紋のない羽織と袴の組み合わせは、洒落着・外出着として楽しめます。
  • 野袴:洒落着・外出着として袴を着けるときの形です。袴があると動きやすいため、歩くことが多い外出に適しています。

用途に合わせて、生地や仕立ての形状に違いがあります。

初めて購入するなら、式典用に黒紋付の羽織袴が一式で必要なのか、稽古や外出で使う袴なのかを先に決めてください。

袴付きのフルセットも販売されているので、一式を一度にそろえたい方には便利です。

なお、礼装の袴は、普段用の袴とは生地や雰囲気が異なります。購入前にどの場面で使うかを店頭や商品説明で確認すると安心です。

袴は、礼装で欠かせない「羽織袴」と、外出着向きの「野袴」で着るシーンが分かれます。

  • 羽織袴:第一礼装は、黒紋付の羽織に袴を合わせた装いです。男着物の加藤商店には、袴も含まれたセミフォーマルでも着られるフルセットがあります。
  • 野袴:洒落着・外出着で着流しの代わりに選べます。動きやすいので、歩くことが多い外出時に向いています。

袴は礼装だけのものではなく、昔から普段にも広く愛用されてきました。紬などの外出着でも、招待された場合などは袴を着けるのがおすすめです。

足袋と履物の選び方|草履・雪駄・下駄の違い

足袋は、指の股が分かれた和装用の靴下です。

素足で着る場合を除き、履くのが基本です。草履などを履いたとき、足袋が全体に見えるので、見た目の印象にも影響します。

礼装では白い足袋が基本で、それ以外では紺・黒・色柄ものも選べます。

サイズ選びは、「靴のサイズより半サイズ小さめ」が一つの目安とされています。

ただし、素材や足の形によって合うサイズは変わります。足の甲の高さや幅まで含めて確認してください。

木綿のキャラコ素材は、洗うと縮むことがあります。縮みが気になる場合は、ポリエステルなどの化繊を選ぶ方法もあります。

履物は大きく分けて3種類です。

履物 特徴 向いている場面
草履(ぞうり) 幅広い用途に使え、初めてでも歩きやすい 外出着全般
雪駄(せった) 草履の一種。表面は畳表で、かかとに金具が付き、歩くと音がする 外出着。白革の鼻緒の物は礼装用
下駄(げた) 気軽に履ける 浴衣など夏のカジュアルな装い

冬の外出に着物を着るなら、草履か雪駄が適しています。下駄は浴衣に合わせるのが一般的です。

鼻緒は、足に合わせて調整が必要です。太めの鼻緒のほうが足の甲を痛めにくく、歩きやすいといわれます。

履き慣れない靴で足を痛めやすいのと同じで、鼻緒が合わないまま長時間歩くと痛みが出ることがあります。購入時に調整を相談するか、無理のない距離から試してみてください。

素材とお手入れ|正絹・ウール・化繊(洗える着物)の違い

着物の素材は、大きく「正絹」「化繊」「木綿」「ウール」に分けられます。

どの素材にも長所と注意点があるため、着る頻度、予算、お手入れにかけられる手間を考えて選ぶのが現実的です。

冬の袷では、保温性や着心地、自宅で洗えるかどうかが、素材選びの分かれ目になります。

素材ごとのメリットと注意点を比べる

素材 メリット 注意点
正絹 光沢となめらかな風合いがあり、上品。フォーマルな場にも使える 天然素材のため自宅では洗えず、専門店でのお手入れが必要
ウール 保温性が高く、秋冬に重宝。丈夫で着崩れしにくい 虫食いに注意が必要
木綿 着心地がよく、普段着向き。色柄も豊富 洗濯後にアイロンが必要になる
化繊(洗える着物) 自宅で扱いやすく、畳んでもシワになりにくい 製品ごとの洗濯表示を確認する必要がある

正絹は、一般に「着物は高級」というイメージの中心にある素材です。

礼装用の黒紋付や色紋付は、正絹が一般的です。大切な場面で着るなら、正絹が選択肢に入ります。

ウールは、冬の普段着として人気があります。シンプルな色味が多く、落ち着いた印象に仕上がります。

木綿は気軽で扱いやすい素材です。ただし、洗濯後にアイロンをかける手間はあります。

化繊は、近年よく着られている素材です。洋服に近い感覚で取り扱えることが、大きな魅力といえます。

絹のような風合いを持たせた化繊も作られているため、見た目の高級感と扱いやすさを両立させたい場合に選ばれています。

自宅で洗える着物はどれ?手入れのしやすさ

自宅での手入れのしやすさで並べると、洗えるタイプの化繊、木綿・ウール、正絹の順になります。

化繊の「洗える着物」は、自宅の洗濯機で丸洗いできる物があります。畳んでもシワになりにくいので、洋服に近い感覚で管理できます。

ウールと木綿も水洗いで洗濯できる物があります。いつでも清潔な着物を着られるため、日常着に向いているといわれます。

正絹は、自宅で洗えません。着用後は専門店などでお手入れを頼む必要があります。

洗える素材でも、製品によって洗い方や洗濯機の使用可否が異なります。洗う前に必ず洗濯表示と取扱説明を確認してください。

また、着用のたびに丸洗いする必要はありません。帰宅後に風を通し、汚れや汗を確認してからたたむだけでも、着物は長持ちします。

初めての冬の1着として、「汚れが不安」「手間をかけたくない」という方は、洗える化繊の袷が選びやすい選択肢です。

反対に「式典や特別な場で着たい」「本物の風合いを楽しみたい」という方は、正絹を選び、専門店でのお手入れを前提にすると納得しやすいでしょう。

サイズの選び方|身長の目安と丈の考え方

サイズの選び方|身長の目安と丈の考え方

着物は直線的な仕立てで、洋服ほど細かいサイズ調整を必要としません。

とはいえ、丈が合わないと見た目の印象も着心地も変わってしまうため、基本的な考え方は知っておく必要があります。

サイズ表記は、店舗や商品によって呼び方が異なります。購入前には、必ず商品ページのサイズ表と自分の寸法を照らし合わせてください。

身長の目安だけでも、商品選びの大きなヒントになります。大きいサイズは身長185cm以上向け、小さいサイズは身長163cmまでを対象にした商品があります。

通常のサイズに収まらないと感じる方は、まずこの範囲に該当する商品を探すとよいでしょう。

既製品とオーダーの違いと、足袋のサイズ選び

身丈は、着物の肩から裾までの長さで、着たときの丈を決めます。男性は、足首が隠れる程度の丈に整えるのが目安です。

裄丈は、背中の中心から袖の端までの長さで、腕の長さに合わせて選びます。袖が短いと手首が出すぎ、長いと動きにくくなります。

身長だけでなく、腕の長さや体格も、選択の条件になります。

購入方法 特徴 向いている人
既製品(仕立て上がり) すぐ着られる。即納対応の商品もある 標準的な体格の人、急いでいる人
オーダー(体型に合わせた仕立て) 体型に合わせて作れる。仕立てに日数がかかることがある 標準サイズに合わない人、仕上がりにこだわりたい人

12月に着たい場合は、仕立てのお届けまでの日数に余裕があるか確認しておくと安心です。

時期によっては、納期が通常より長くなることもあるため、年内の着用を考えているなら早めに動くのが無難です。

足袋は、靴のサイズより半サイズほど小さめが目安とされますが、足の形によって変わります。

足の甲の高さや幅も含めて、試着や返品条件を確認してから買うと失敗を防げます。

サイズは、着丈や身長の目安、足袋のサイズを見て選びます。着物は直線裁ちで体型に左右されにくく、男性はおはしょりをしないため、着丈は足首が隠れる程度(くるぶしあたり)に合わせます。

  • 既製品の目安:男着物の加藤商店では、身長163cmまで向けの小さいサイズと、185cm以上向けの大きいサイズのセットを扱っています。体型に合わせたオーダー着物もあります。
  • 足袋:靴のサイズより半サイズ小さいものがよいとされますが、足の形によって合うサイズは変わります。キャラコ(木綿)は洗うと縮むので靴のサイズで選び、縮みが気になるならポリエステルなどの化繊を選びます。甲の高さと幅も確かめましょう。

どこで買う?通販・中古・レンタルの選び方

着物の購入方法は、主に通販、中古、レンタルがあります。

百貨店や呉服店は敷居が高いと感じる方も多いかもしれませんが、男性向けの着物を専門に扱う通販サイトもあります。

それぞれに向いている人が違うので、状況に合った入口を選ぶことが大切です。

方法 メリット 注意点
通販(新品) 必要な物が揃ったセットや、洗える着物、サイズ違いなど種類が多い。仕立て上がりなら早く届く物もある 実物の色味や質感を確認しにくい。サイズ表をよく見る必要がある
中古 正絹や紬など、本格的な着物を探しやすい。商品の状態ランクが示されていることがある サイズが合わない物や状態に差がある物もある。仕立ての種類(袷か単衣か)を確認する
レンタル 手ぶらで着付けできるサービスもあり、観光や一度きりの体験に向く 自分の着物として手元には残らない。日程や予約の条件を確認する

通販には、着物・羽織・襦袢・帯・足袋などが一式そろった初心者向けのセットがあります。

何から買えばよいか分からない方や、まとめて新調したい方にとって、買い忘れを防げる点が大きな利点です。

中古は、正絹の着物や紬などを探すときに、候補が見つかりやすい買い方です。

季節の区分で袷・単衣・薄物と探せる店もあり、サイズガイドを確認しながら選べます。商品の色味が写真と異なって見えることもあるため、色味の確認方法も見ておいてください。

▶ 動画で確認:初心者向け男着物を店主が紹介

銀座の着物店の店主が、初心者におすすめの男性着物や羽織、帯を紹介しています。年末年始に着る人向けの内容で、買う先を選ぶときの参考になります。

出典:銀座きものティロワール「【男性の着物姿を増やしたい!】男性の着物ファン必見!初心者にお勧めのお着物をプロの目でご紹介」(YouTube・約8分)

状況別の選び方チェックリストと、よくある失敗

最後に、状況別の選び方と、買う前に確認したい項目をまとめます。

  • お正月に初めて着てみたい:洗える化繊やウールの袷セットなど、一式がそろう通販が手軽です。急ぎなら即納の仕立て上がりを探します。
  • 結婚式・式典で着たい:黒紋付や色紋付など格の合う着物が必要です。購入前に格と紋の数を確認します。一度きりなら、レンタルも選択肢です。
  • 普段着として長く着たい:紬やウールの袷に、羽織と角帯を合わせます。中古も含めて探すと、選択肢が広がります。
  • 家族に贈りたい:身長や腕の長さ、足の大きさを本人に確認します。サイズを測れない場合は、体型に合わせやすいオーダーや、サイズ交換の条件を確認します。

購入前のチェックリストは次のとおりです。

  1. 12月に着られる袷仕立てか(裏地の有無)
  2. 着る場面に合った格か(礼装・準礼装・普段着)
  3. 身長・身丈・裄丈がサイズ表の範囲に収まるか
  4. 素材のお手入れ方法を自分で続けられるか
  5. 帯・襦袢・肌着・腰紐・足袋・履物がそろっているか
  6. 羽織や道行コートなど、冬の防寒をどうするか決めているか

よくある失敗には、次のようなものがあります。

  • 単衣や夏物を、季節を確認しないまま購入してしまう。
  • 着物本体だけを買い、帯・足袋・履物が足りない。
  • 普段着用の着物で、式典や結婚式に出てしまう。
  • サイズ表を見ず、見た目だけで買って丈が合わない。
  • 正絹の着物を購入したあと、手入れの方法が分からず困る。
POINT 迷ったときは、着る場面→季節と素材→サイズと買い方の順に決めましょう。最初は洗える袷の着流しに羽織と角帯を合わせ、慣れたら袴や正絹へ広げる方法もあります。

着物は、一度に完璧にそろえなくても、少しずつ増やしながら楽しめる衣服です。

まずは12月の袷から、自分の場面に合った1着を選んでみてください。