結論:塩数の子を塩抜きして、冷ました漬け汁に一晩漬けるのが基本
塩数の子から味付け数の子を作る基本は、「塩水でゆっくり塩抜きをする」「薄皮をやさしくむく」「冷ましただし入りの漬け汁に冷蔵庫で漬ける」の3つです。
難しそうに見えますが、1つひとつの作業はシンプルです。コツさえ押さえれば、料理に慣れていない方でも家族みんなで食べられる味に仕上がります。
いちばん大切なのは、塩を抜きすぎないことです。端を少し折って味見をしながら、ほんのり塩気が残るところで止めるのが、おいしさの分かれ道になります。
この記事では、塩数の子と味付け数の子の違い、塩抜きと薄皮むきの手順、漬け汁の分量、白だし・醤油・めんつゆの選び方、失敗したときの直し方、保存と日持ち、余ったときの松前漬けまでを順番に説明します。
作業の全体像と所要日数の目安
塩数の子の味付けは、塩抜きに時間がかかるぶん、数日に分けて進めるのが安心です。食べる日から逆算して、余裕をもって始めましょう。
作業の流れは次の通りです。
- 塩数の子を塩水に浸けて塩抜きをする(途中で水を替え、端を味見する)
- 塩抜きができたら、薄皮をやさしくむいて水で洗う
- だし汁・酒・薄口醤油・みりんで漬け汁を作り、追いがつおをして、こして冷ます
- 水気をふいた数の子を、冷めた漬け汁に冷蔵庫で漬ける
- 一晩から1〜2日おいて味をなじませたら、食べやすく切って盛りつける
塩抜きそのものは、塩水でゆっくり行う方法で数時間から半日ほどが目安です。慎重に進めたい場合は、1日目に下ごしらえ、2日目に塩抜き、3日目に漬け汁へ、というように日をまたいで進める方法もあります。
ほとんどが「待つ時間」なので、予定を立てておけば当日あわてずにすみます。
| 日程の例 | 作業 |
|---|---|
| 食べる3日前ごろ | 塩数の子を塩水に浸けて塩抜きを始める |
| 食べる2日前ごろ | 味見をして塩加減を確認、薄皮をむき、漬け汁を作って冷ます |
| 食べる前日 | 冷めた漬け汁に漬けて冷蔵庫で味をなじませる |
| 食べる日 | 汁気を切って切り分け、かつお節をのせて盛りつける |
このように、塩抜きから食べごろまでは日をまたいで進めると、気持ちに余裕が生まれます。時間がないときの時短の方法は、のちほど別の見出しで紹介します。
塩数の子と味付け数の子の違い、どちらを買うか
お店で見かける数の子には、大きく分けて「塩数の子」と「味付け数の子」があります。昔は天日で干した「干し数の子」もありましたが、現在はほとんど見かけません。
塩数の子は塩漬けにしたもので、おせち用として現在もっとも主流とされています。食べる前に塩抜きをして、塩分を調整してから使います。
味付け数の子は、塩抜きした数の子をしょうゆやだしなどに漬けて作られたものです。塩抜きの手間がなく、袋から出してそのまま食べられるのが魅力です。
| 種類 | 特徴 | 食べる前の作業 |
|---|---|---|
| 塩数の子 | 塩漬けにした数の子。保存がきき、味を自分で決められる | 塩抜き・薄皮むき・味付けが必要 |
| 味付け数の子 | しょうゆやだしで味付け済み。すぐ食べられる | ほぼ不要(商品の表示に従う) |
| 干し数の子 | 天日干しにしたもの。現在はほとんど見かけない | 長時間水で戻す必要がある |
では、手作りするならどちらを買えばよいのでしょうか。答えは、味付けを自分で行うなら塩数の子です。味付け数の子をさらに漬け直すと、塩辛くなったり味が濃くなったりしやすいためです。
塩数の子は、味付け数の子よりも保存がきくという利点もあります。早めに買って冷蔵庫で保管しておき、食べる分だけ塩抜きをする使い方ができます。
状況別に、選び方の目安をまとめました。
- はじめてで、家族の好みの味にしたい人は、塩数の子を買って手作りする
- 時間がない、塩抜きの失敗が心配という人は、味付け数の子を買ってそのまま盛る
- おせちの品数が多く、数の子は手軽にすませたい人は、味付け数の子で時間を節約する
- できたてのだしの香りを楽しみたい人は、塩数の子から作る
お重に詰めるなら、少し小ぶりの塩数の子が扱いやすいと言われます。目安は1本が10〜12cm、重さ40gほどです。大きいものは歯ごたえがありますが、切り分けて盛ればどちらも問題なく使えます。
塩抜きと薄皮むきの手順

数の子の味付けでは、塩抜きと薄皮むきの2つの下ごしらえが仕上がりを大きく左右します。ここを丁寧に行うと、口当たりがよく、漬け汁の味もなじみやすくなります。
慣れないうちは時間がかかりますが、一度やり方がわかれば難しくありません。ひとつずつ見ていきましょう。
塩水でゆっくり塩抜きする方法と時間の目安
塩抜きは真水ではなく、薄い塩水で行うのが基本です。これは「呼び塩」と呼ばれる方法で、浸透圧のはたらきを使って塩分を均等に抜くものです。
真水に浸けると塩は早く抜けますが、表面の塩ばかり先に抜けて中に塩気が残り、味にムラが出やすくなります。食感も損ないやすいため、塩水でゆっくり抜くのが安心です。
手順は次の通りです。
- 水1Lに塩小さじ1を溶かした塩水を作り、塩数の子を浸ける
- 3時間ほどたったら塩水を捨て、同じ濃さの新しい塩水に替えてさらに3時間ほど浸ける
- 途中で数の子の端を少し折り、味見をして塩加減を確認する
- 少し塩気を感じる程度になったら引き上げる
水を使う方法では、たっぷりの水に半日から1日ほど浸け、途中で1〜2回水を替える手順もあります。いずれの場合も、時間はあくまで目安です。数の子の大きさや厚み、塩加減によって抜けるスピードが変わります。
本格的に仕上げたい方には、米のとぎ汁を使う方法もあります。まず米のとぎ汁に浸けて冷蔵庫に1日おき、次に塩水(水100mlに塩小さじ1/3の割合)に替えてさらに1日おくやり方で、味が入りやすくなると紹介されています。
ゴールの塩加減は、食べて塩辛くもなく、味気ないほど抜けてもいない状態です。そのまま食べておいしい浅漬けくらいを目安にすると、イメージしやすいでしょう。
塩抜き中は、乾燥や温度上昇を避けるため冷蔵庫に入れておくと安心です。容器にふたやラップをして、他の食品のにおいが移らないようにしましょう。
▶ 動画で確認:北海道水産加工連の塩抜き解説
北海道の水産加工業の団体が、薄い塩水で塩抜きする手順と時間を映像で示しています。塩辛いとき・苦いときの調整法まで載っており、この節の塩水で抜く方法と一致するため置きます。
出典:Hokkaido kakoren「塩数の子 お手軽な塩抜きの方法 【北海道水産加工連】」(YouTube・約6分)
急ぐときの時短の塩抜き
「買ってすぐ使いたい」「塩抜きの時間を取れなかった」というときは、40℃ほどに温めた塩水を使う時短の方法があります。最短で3時間ほどが目安です。
- 数の子を水で洗う
- 水1Lに塩小さじ2を溶かし、40℃ほどに温めた塩水に1時間浸ける
- 薄皮がはがれやすくなるので、表も裏も薄皮をむく
- 塩水を捨て、真水に替えて薄皮をむいた数の子を1時間浸ける
- 真水を新しいものに替え、さらに1時間浸ける(時々端を折って味見する)
温かい塩水を使うことで、薄皮がはがれやすくなるのも利点です。塩抜きと薄皮むきを同時に進められるため、作業が効率よく進みます。
ただし、時短で作ったものは、ゆっくり塩抜きしたときと全く同じ仕上がりにはなりにくいことを知っておきましょう。数の子らしい食感と旨みをしっかり残したいなら、やはり時間に余裕をもって準備するのがおすすめです。
お湯の温度が高すぎると、数の子の食感に影響することがあります。時短でも、塩水の温度は40℃程度を目安にしてください。
薄皮を崩さずにむくコツ
数の子の表面には白っぽい薄皮がはっています。これを残すと口当たりが悪くなり、味のしみ込みにも影響するため、できるだけ丁寧に取り除きます。
むき方のコツは、「ちびちびむかず、つまめる量まで集めてから引っ張る」ことです。次の手順で進めてみてください。
- 指の腹で、薄皮をなでるようにやさしくこする
- 薄皮が寄ってきて、指でつまめるくらいになったら引っ張って取り除く
- 裏側も同じようにこすって、薄皮をむく
- むき終わったら水で軽く洗い、取り残しがないか確認する
数の子には「くし目」と呼ばれる、ほぼ等間隔の割れ目が入った面があります。このくし目に沿って薄皮を引っ張ると、きれいにむけます。むきにくいときは、親指の腹をくし目に向かってすべらせるようにこすると取れやすくなります。
くし目のまわりは身が崩れやすいところです。力を入れすぎると卵がポロポロとこぼれてしまうので、力を入れずにやさしく作業しましょう。
薄皮は包丁を使わず、手で取り除くのが基本です。ペーパータオルを使うとつまみやすくなる場合もあります。
表をむいたら裏、と交互に同じペースで進めると、リズムよく作業できます。水で洗うと取り残しが見つかりやすいので、見つけたら取り除きましょう。
200gほどの数の子でも、思った以上に薄皮が出ます。口当たりを左右する大切な工程なので、焦らず取り組んでください。
▶ 動画で確認:魚屋さんが見せる薄皮のむき方
魚屋の方が、数の子の表と裏を見分け、指の腹でこすって薄皮を引き上げる様子を実演しています。薄皮をくずさずむくコツを動きで確認できるので、この節に置きます。
出典:魚屋てっさん&うっちゃん「数の子の皮むき解説」(YouTube・約4分)
数の子の味付けの基本レシピ
塩抜きと薄皮むきが終わったら、いよいよ味付けです。味付けといっても、だし・醤油・酒・みりんを合わせた漬け汁を作り、冷まして漬けるだけです。
ここでは、定番のだし醤油漬けのレシピを紹介します。その後で、白だしやめんつゆを使った手軽な方法も説明します。
材料と漬け汁の作り方(追いがつおのやり方)
数の子200gを漬ける場合の、基本の材料と分量の目安です。
| 材料 | 分量(数の子200g分) |
|---|---|
| 塩抜きした数の子 | 200g |
| だし汁 | 300ml |
| 酒 | 大さじ2 |
| 薄口醤油 | 大さじ2 |
| かつお削り節 | ひとつかみ(追いがつお用)と、盛りつけ用に少々 |
| 唐辛子(好みで) | 輪切りを少々 |
だし汁の量は、数の子が漬け汁にしっかり浸かるかどうかで調整します。濃口醤油を使う場合は、塩を少々加えると味がととのいます。
みりんは入れすぎると甘くなりすぎるので、隠し味程度にとどめるのがおすすめです。あっさりした数の子には、甘さを控えた味が合います。
漬け汁は次のように作ります。
- 鍋にだし汁・酒・薄口醤油・みりんを入れて中火にかける
- 煮立ってきたら、かつお削り節をひとつかみ加える(これが追いがつお)
- 火を弱めるか止めて、2〜3分ほどそのままおいて風味を出す
- かつお節が沈んだら、目の細かいこし器やキッチンペーパーを敷いたざるでこす
- 好みで唐辛子を加え、そのまま冷ます
「追いがつお」とは、煮汁に改めてかつお節を加えて風味を足す方法です。香りが引き立ち、仕上がりがぐっとおいしくなるので、ぜひ試してみてください。
冷ますときは、バットや容器に移すと早く冷めます。さらに冷蔵庫でしっかり冷やしてから使うと、数の子の食感を守れます。
だし汁は、かつおだしや昆布だし、市販のだしを使っても構いません。市販のだしやだし入りの調味料を使う場合は、商品に書かれた使い方の目安も参考にしてください。
▶ 動画で確認:和食の料理人による漬け汁の作り方
和食調理師の方が、塩抜きから出汁と薄口醤油の漬け汁、薄皮むき、盛り付けまでを通して見せています。出汁の量や調味料の割合が具体的なので、漬け汁の節の参考になります。
出典:料理人設楽の料理道場「【プロ直伝】 簡単おせちシリーズ【数の子の塩抜きから味付けまで】塩数の子は思ったより簡単に作れます!」(YouTube・約6分)
漬け込みの手順と食べごろ
漬け汁は必ず冷めてから数の子を入れます。熱いまま漬けると、数の子に熱が入って食感が落ちたり、風味が飛んだりするためです。
- 薄皮をむいた数の子の水気を、キッチンペーパーでしっかりふき取る
- 保存容器や、ジッパー付きの保存袋に数の子を並べ入れる
- 冷めた漬け汁を注ぐ
- 数の子の頭が出るようなら、キッチンペーパーをのせて表面をおおい、漬け汁に浸かるようにする
- ふたをして、冷蔵庫でひと晩おく
保存袋を使うと、少ない漬け汁でも全体に味がなじみます。数の子を平らに並べて空気を抜くだけなので、洗い物も少なくてすみます。
水気をしっかりふくのは、漬け汁が薄まるのを防ぐためです。ここを丁寧にすると、味がぼやけにくくなります。
食べごろは、漬けてから半日ほどたったあとです。ただ、できれば1〜2日おくと、味がなじんでおいしくなります。漬け込み時間の目安は、6〜8時間ほどのひと晩です。
短すぎると味が中までしみず、長く漬けすぎると味が濃くなりすぎます。食べる前日の夜に漬けておくと、ちょうどよい頃合いになります。
漬け込み中は、必ず冷蔵庫に入れてください。常温に置くと鮮度が落ちるため、季節を問わず冷蔵庫で漬けるのが原則です。
盛りつけるときは、汁気を切って食べやすい大きさに切り分け、かつお節を少しふりかけます。切り分けるときは、くし目の反対側からくし目に向かって包丁を入れるか、手でちぎると、卵がバラバラになりにくくなります。
れんこんやゆでえび、緑の野菜などを添えると、彩りがよく華やかな一皿になります。
白だし・醤油・めんつゆの違いと選び方
「だしを取るのは大変そう」という方には、白だしやめんつゆを使う方法があります。調味料ごとに、仕上がりと手間が変わります。
| 調味料 | 仕上がり | 手間 |
|---|---|---|
| 白だし | だしの香りがやさしく、数の子の黄色がきれいに映える | 水で薄めるだけで、初心者向き |
| 醤油(だし醤油) | しっかりした味でご飯に合うが、色が濃くなりやすい | だし・みりん・酒との配合バランスがやや難しい |
| めんつゆ | 甘みと風味が前に出て、色もやや濃くなる | 水で薄めるだけで、加熱も不要 |
3つを同じ条件で一晩漬けて比べると、白だしがもっともバランスよく仕上がったという検証があります。上品なだしの香りが数の子の風味をじゃましないためです。
白だしの漬け汁は、白だし1に対して水3を混ぜるのが目安です。数の子2本分なら、白だし大さじ1と水大さじ3ほどです。物足りないときは、白だしを小さじ1ずつ足して調整します。商品によって濃さが違うので、パッケージの使い方もあわせて確認してください。
めんつゆは、3倍濃縮のものを大さじ1、水を大さじ2ほどで、数の子2本分の目安になります。混ぜるだけで加熱がいらず手軽です。数の子が苦手な方や、お子さんと一緒に食べるきっかけにはよいでしょう。
醤油で作る場合の一例は、水50ml、醤油大さじ1、みりん大さじ1、だし大さじ2を耐熱容器に入れ、600Wの電子レンジで1分ほど加熱する方法です。少し冷ましてから、水気をふいた数の子を漬けます。
どれを選ぶかは、目的で決めると迷いません。
- はじめてで失敗したくない人は、白だし
- だしから丁寧に作って、定番の味にしたい人は、だし醤油(薄口醤油)
- 調理を最小限にして、子どもも食べやすい味にしたい人は、めんつゆ
どの調味料でも共通するのは、最初は薄めに作って味見をしながら調整することです。濃く作りすぎると、あとから戻せません。数の子の端を少し折って、漬け汁の味を確かめながら整えましょう。
▶ 動画で確認:キッコーマン公式のめんつゆ活用例
醤油メーカーのキッコーマンが、自社のめんつゆ「濃いだし本つゆ」を使った炒め物のレシピを公式に紹介しています。数の子の動画ではありませんが、めんつゆという調味料の風味や使い勝手をつかむ参考として置きます。
出典:キッコーマン公式チャンネル「[Recipe] Kikkoman Koi-Dashi Hon-Tsuyu: Garlic Butter Stir-fry with Eggplant and Pork Belly」(YouTube・約1分)
塩抜きしすぎ・塩辛くなったときの対処

どれだけ気をつけていても、塩加減の失敗は起こりうるものです。ここでは、塩を抜きすぎたとき、塩が抜けきらず塩辛いときの考え方を整理します。
あわてて作り直す前に、まず今の数の子の味を端の部分で確かめてみましょう。そのうえで、状態に合った対処を選ぶと、おいしく食べられる場合が多くあります。
塩抜きしすぎたときは漬け汁を濃いめにする
塩を抜きすぎると、数の子のコリコリした食感が弱くなり、苦みが出ることがあります。味気なく感じられ、おいしさが半減してしまいます。
塩抜きしすぎた場合は、漬け汁を少し濃いめにして調整します。だし汁を濃くしたり、醤油や白だしを少し増やしたりして、数の子に足りない塩気と旨みを補います。
やり方の例を挙げます。
- だし汁を煮詰め気味にして、旨みを強くする
- 薄口醤油をほんの少し増やして、塩気を補う
- 追いがつおをしっかり行い、香りで満足感を出す
- 漬ける時間を少し長めにして、味をなじませる
ただし、一気に濃くすると今度は塩辛くなります。少しずつ足しながら、端を味見して決めてください。
塩気が足りないまま食べる場合は、盛りつけのときにかつお節をたっぷりかけたり、少量の醤油やだしを添えたりしても、味が整います。
反対に、塩抜きが足りなくて漬けたあとに塩辛くなった場合は、そのまま漬け続けないことが大切です。漬け汁の中にいると塩気はさらに全体へなじんでいきます。
漬ける前に気づいたときは、もう一度薄い塩水や水に短時間浸けてから、こまめに味見をします。漬けたあとなら、汁から出して食べやすく切り、松前漬けのような濃い味の料理にまわす方法があります。そのときは、後述のように調味料を控えめにして使うと食べやすくなります。
失敗しないための味見のタイミング
失敗を防ぐ最大のコツは、塩抜きの途中で何度か味見をすることです。時間だけを頼りにせず、自分の舌で確かめるのが確実です。
味見は、数の子の端を少し折って口に入れるだけです。見た目に影響しないよう、折れた部分や端の小さな欠片を使いましょう。
味見をするタイミングの目安は次の通りです。
| タイミング | 確認すること |
|---|---|
| 1回目の水替えのとき | まだしっかり塩辛いかどうか。ここで抜けすぎていれば早めに引き上げる |
| 2回目の水替えのとき | 少し塩気を感じる程度かどうか |
| 薄皮をむく前 | 最終的な塩加減。ここで決めて、むき終わったらすぐ漬ける |
| 漬け汁を作ったあと | 冷ます前に、汁の味が濃すぎないか確認する |
漬け汁は漬け込みの間に数の子から塩気が出るため、少し薄いかなと感じるくらいが、仕上がりでちょうどよくなります。
ひと晩たったら、食べる前に端をもう一度味見しましょう。足りなければ、その場で漬け汁の味を整えたり、盛りつけ時に調整したりできます。
家族に小さなお子さんや高齢の方がいる場合は、少し薄めの味にしておくと食べやすくなります。足りなければ食卓で足せるように、かつお節や薄口醤油を添えておくと安心です。
保存方法と日持ちの目安

おせちの準備では、作り置きの日持ちが気になるところです。数の子は状態によって日持ちが大きく変わるため、状態ごとの保存のしかたを覚えておきましょう。
特に、塩抜きをした数の子は傷みやすくなります。まとめて塩抜きをせず、食べる分だけ作るのが基本です。
塩抜き前・塩抜き後・味付け後の日持ち比較
| 状態 | 保存方法 | 日持ちの目安 |
|---|---|---|
| 塩抜き前(塩数の子) | 冷蔵 | 商品の賞味期限内 |
| 塩抜き後 | 冷蔵 | 約2〜3日 |
| 味付け後 | 冷蔵 | 約3〜5日 |
| 味付け後 | 冷凍(漬け汁ごと) | 約2〜3週間 |
塩抜き前の塩数の子は、塩分が多いぶん、もっとも日持ちする状態です。未開封のまま冷蔵庫に入れ、商品に書かれた賞味期限を目安にします。開封後は、密閉容器や密閉袋に入れて冷蔵します。
塩抜き前の数の子は冷凍に向きません。解凍後に食感が損なわれやすいためです。買ってすぐ全部を塩抜きせず、食べる分だけ塩抜きして、残りは塩抜き前のまま保存しておくのがおすすめです。
塩抜き後は、塩分が減るぶん傷みやすくなります。塩抜きしたら、できるだけその日のうちに味付けまで進めるのが理想です。
すぐに味付けできない場合は、薄い塩水に浸けた状態で密閉容器に入れて冷蔵し、塩水を毎日替えます。それでも約2〜3日が限度で、長くおくと風味が落ちていきます。
味付け後の冷蔵は、3〜5日以内に食べ切るのがおいしさの目安です。漬けておくほど塩気が染み込んでいくので、日数がたつにつれて味が濃くなり、数の子本来の風味が薄れやすくなります。
おせちとして作る場合は、食べる日に合わせて逆算し、漬け込みのタイミングを決めましょう。早く作りすぎないことも、おいしく食べるコツです。
冷凍するときと解凍のしかた
食べきれない分は、味付け後なら冷凍できます。ポイントは、漬け汁に浸けたまま冷凍することです。汁ごと凍らせると乾燥を防ぎ、プチプチした食感を保ちやすくなります。
- 味付けが終わった数の子を、漬け汁ごと保存容器または冷凍用の保存袋に入れる
- 袋の場合は、空気をしっかり抜いて口を閉じる
- 平らにして冷凍庫に入れる(冷凍の目安は約2〜3週間)
- 食べる半日ほど前に、冷蔵庫に移して自然解凍する
急に温度を上げると、水っぽくなったり食感が落ちたりしやすいためです。
解凍したあとは、再冷凍せず、早めに食べ切りましょう。一度に使う量を小分けにして冷凍しておくと、必要な分だけ解凍できて便利です。
保存で失敗しないための3か条をまとめます。
- 塩抜きは、食べる分だけそのつど行う
- 塩抜きしたら、その日のうちに味付けまで済ませる
- 味付け後は、冷蔵で3〜5日以内に食べ切り、残りは早めに冷凍へ移す
余ったら松前漬けにアレンジ
数の子が余ったときや、味付けしたものを使い切りたいときは、松前漬けにアレンジする方法があります。松前漬けは北海道の郷土料理で、しょうゆベースの味に、数の子のコリコリした食感と昆布の粘りが合わさります。ご飯にのせても、お酒のおともにも向く一品です。
ここでは、数の子のだし醤油漬けをベースにした作り方を紹介します。作りやすい分量の目安です。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 数の子のだし醤油漬け | 80g |
| 松前昆布(がごめ昆布・日高昆布でも可) | 40g |
| するめいか(乾物) | 30g |
| にんじん | 30g(約1/5本) |
| きゅうり | 40g(約1/2本) |
漬け汁は、水45ml、酒45ml、醤油60ml、みりん45ml、砂糖25g、赤唐辛子1本を使います。
- 昆布とするめいかは、汚れがあれば乾いたふきんでふき、水に軽く浸して30分ほどやわらかくしてからせん切りにする
- 切った昆布とするめいかをざるに広げて乾かす(旨みが凝縮し、味がしみ込みやすくなる。天日干しは半日〜2日ほどが目安)
- にんじんはせん切りにしてざるに広げ、熱湯を回しかけて冷ます(食感を残すため、ゆでない)
- 鍋に漬け汁の材料を入れ、ひと煮立ちしたら火を止めて冷まし、赤唐辛子を取り出す
- 保存容器に昆布・するめいか・にんじんを入れ、漬け汁を注いで冷蔵庫でひと晩おく(昆布から粘りが出てくる)
- ひと晩おいたベースをボウルに移し、数の子を手でちぎりながら加えてさっと混ぜる
- せん切りにして水にさらし、水気を切ったきゅうりを加えて軽くあえ、器に盛る
きゅうりは色が悪くなりやすく、味もしみやすいので、食べる直前に加えるのがコツです。ベースは、食べる分だけボウルに取り出してあえるようにしましょう。
きゅうりを入れる前のベースの状態なら、冷蔵庫で5日ほど保存できます。塩気がしっかりしていて、保存に向く料理です。
手間を省きたい場合は、昆布とするめいかが切ってセットになった、市販の松前漬け用の材料を使う方法もあります。そのときは、袋の表示を見て作り方を確認してください。
松前漬けは、お正月のほか、お祝いの席や副菜にも向きます。黒豆などの縁起物を添えると、上品な盛りつけになります。
地域によっては、数の子を醤油漬けにして大豆と合わせる「豆数の子」という郷土料理もあります。福島県や長野県で親しまれ、青大豆や枝豆でも作れます。余った数の子の使い道の1つとして、覚えておくと役立ちます。
塩辛くなってしまった数の子も、細かくちぎって松前漬けのベースにあえれば、ほかの具材と合わさって食べやすくなります。調味料は控えめにし、味見しながら加減してください。
最初の塩数の子の下ごしらえさえ丁寧にできれば、味付けも松前漬けも、無理なく楽しめます。家族と一緒に、手作りの数の子でお正月のテーブルを華やかに整えてください。

