子供が生まれて初めてあげる離乳食。
かわいい食器やスタイを準備したり、離乳食の本で何を作ろうか考えたり、ママはワクワクしますよね。
その一方で、赤ちゃんに食べ物を与える順番や与えていけない食べ物があって、ママは戸惑ってしまうことが多いかもしれません。
生まれたときから乳児湿疹が酷かったり、ママやパパがアレルギー体質であったりすると「もしかしたら我が子もアレルギーがあるかもしれない」、「食物アレルギーがあったらどうしよう」と不安になるママもいるのではないでしょうか?
私の娘は卵アレルギーで、1歳半のころは離乳食に苦労していました。
今回は、医師向けにまとめられた厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2023」(食物アレルギー研究会のサイトに掲載)をもとに、食物アレルギーの症状や原因、検査と治療の考え方を、娘の体験とあわせてお伝えします。
※この記事は、娘が1歳半だった2018年の体験に、専門家の資料の情報を足して書き直したものです(2026年10月13日確認)。
子供の食物アレルギーの症状や原因は?

お子さんが離乳食を始める時期になると、アレルギーのことが心配になると思います。
我が家の場合、私も夫も食物アレルギーがあり、さらに私はアトピー性皮膚炎もあったので、娘が生まれる前から肌やアレルギーのことを心配していたんです。
そのため、生後2ヶ月ごろから小児科と皮膚科の2つを定期的に受診していました。
ここからは「食物アレルギー」とは一体どんな症状で、どんな食べ物が原因になりやすいのかを見ていきましょう。
- 食物アレルギーで起こりやすい症状と種類
- 食物アレルギーの原因になりやすい食べ物は?
食物アレルギーで起こりやすい症状と種類
「食物アレルギーの診療の手引き2023」では、食物アレルギーをいくつかのタイプに分けています。
ここでは、赤ちゃんや子供に関係の深い3つのタイプと、命に関わることがあるアナフィラキシーについてお伝えします。
- 即時型症状
- 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
- 食物蛋白誘発胃腸症(以前の呼び名は新生児・乳児消化管アレルギー)
出典:食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」掲載ページ
即時型症状
手引きによると、即時型症状は食物アレルギーの最も典型的なタイプで、原因の食べ物を食べたあと、通常2時間以内に症状が出ることが多いとされています。
食物アレルギーで起こる症状には、皮膚(赤み・蕁麻疹・かゆみなど)、目や鼻、口やのど、呼吸器(咳・ゼーゼーする・呼吸困難など)、消化器(吐き気・嘔吐・腹痛・下痢など)、活気の低下や意識障害などの神経の症状、血圧低下などの循環器の症状があります。
私の娘は定期的に小児科と皮膚科を受診していたにも関わらず、離乳食で卵をあげたとき、赤みや発疹というレベルではなく全身に蕁麻疹が広がり、顔も誰かわからないくらいパンパンになってしまいました。

食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
食べ物に対する抗体ができていて、食べ物が湿疹を悪くすることに関わっているタイプです。
手引きでは、すべての乳児アトピー性皮膚炎に食べ物が関わっているわけではないとも書かれています。
食物蛋白誘発胃腸症
以前は新生児での発症が多く、新生児・乳児消化管アレルギーと呼ばれていたタイプです。
嘔吐や血便、下痢などのおなかの症状が出ます。
アナフィラキシー
手引きでは、アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応で、通常は急速に起こり、死に至ることもあると説明されています。
日本小児アレルギー学会は、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されている子がアナフィラキシーショックを疑う場合に、次の症状が一つでもあれば使用すべきとしています。
- 消化器の症状:繰り返し吐き続ける、持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
- 呼吸器の症状:のどや胸が締め付けられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、持続する強い咳込み、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい
- 全身の症状:唇や爪が青白い、脈を触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、尿や便を漏らす
出典:日本小児アレルギー学会「一般向けエピペン®の適応」(2013年)
手引きでは、エピペンは補助治療なので、使用後は直ちに医療機関を受診するよう指導するとされています。
また、消防庁の「救急車利用マニュアル」では、子ども(15歳以下)で意識がない・もうろうとしている、嘔吐が止まらない、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、くちびるの色が紫色といったときは、すぐに119番を呼ぶよう案内しています(出典:総務省消防庁「救急車利用マニュアル」)。
判断に迷うときは、子ども医療電話相談(主に休日・夜間、#8000)に相談できます。
それ以外の赤みや蕁麻疹などでも、食べたあとに症状が出たら、できるだけ早く病院で診てもらってください。
次は食物アレルギーの原因になりやすい食べ物についてお伝えします。
食物アレルギーの原因になりやすい食べ物は?
手引きによると、わが国のIgE依存性の食物アレルギーの有症率は、乳児で7.6~10%とされています。
赤ちゃんに食物アレルギーがあると聞くと、食べさせること自体が不安になってしまいますよね。
手引きには「食物アレルギーの発症予防のまとめ」という表があり、その中で次のように書かれています。
- 離乳食の開始時期は生後5~6か月頃が適当で、離乳食の開始を遅らせることは推奨されない
- 生後5~6か月から加熱鶏卵を微量もしくは少量から摂取開始してよい
- 乳児期早期の湿疹は食物アレルギーのリスク因子で、離乳食開始前には、湿疹の発症早期から治療を始め、速やかに十分コントロールしておくことが推奨される
これは、まだ食物アレルギーを発症していない子の「発症予防」についての内容です。
湿疹がある子の場合は、鶏卵などを始める前に、かかりつけ医に相談しておくと安心です。
すでに食べて症状が出たことがある食べ物は、自己判断で与えずに、医師の診断に従ってください(手引きでは、食べると症状が出る食べ物は除去するとしています)。
ここでは、原因になりやすい食べ物と、加工食品の表示についてお伝えします。
乳幼児に多い原因食物

手引きでは、即時型症状の原因として頻度の高い食べ物を、乳児~幼児では次のように挙げています。
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
- ピーナッツ
- 木の実類
- 魚卵 など
そして、乳児・幼児早期の主な原因である鶏卵、牛乳、小麦は、その後成長とともに多くは食べられるようになる(耐性を獲得する)と書かれています。
加工食品のアレルギー表示
容器包装された加工食品には、アレルギー表示のルールがあります。
手引き(2026年4月10日版)に載っている表示の対象は次のとおりです。
- 特定原材料(表示義務)9品目:えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
- 特定原材料に準ずるもの(表示推奨)20品目:アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
※カシューナッツは2028年3月31日まで経過措置期間(手引きの注記)
出典:「食物アレルギーの診療の手引き2023」PDF(2026年4月10日版・加工食品のアレルギー表示)
消費者庁も、令和8年(2026年)4月1日の事務連絡で、カシューナッツを特定原材料に追加し2年間の経過措置期間を設けたこと、ピスタチオを特定原材料に準ずるものに追加したことを知らせています(出典:消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」)。
表示推奨の20品目は、表示されない場合があります。
また、加工食品は予告なく規格が変わることがあるので、買うたびに表示を確かめるよう手引きに書かれています。
次はアレルギー検査についてお伝えします。
▶ 動画で確認:小児科教授による食物アレルギーの基礎
山口大学病院の小児科専門医が、食物アレルギーの症状・診断・治療を4分で整理した動画です。症状の出方と原因食物の考え方を押さえられるため、症状と原因を解説する冒頭の節に置きます。
出典:山口大学病院チャンネル「小児科教授が教える食物アレルギー(症状・診断・治療)/山口大学病院」(YouTube・約4分)
アレルギーの検査はどんなもの?
手引きでは、食物アレルギーの検査として、血液で調べる特異的IgE抗体検査、皮膚プリックテスト、食物経口負荷試験などが紹介されています。
検査の費用は、受ける検査や医療機関によって違うので、受診先で確認してください。
私の娘は卵黄を与えたときに「即時型症状」が出たため、生後7ヶ月の頃に、皮膚にアレルゲンのエキスを付けて反応を見る検査を受けました。
そのときは卵黄、卵白、小麦、乳の4つを検査して、卵黄と卵白のエキスを付着させた箇所が腫れたため、アレルギーとの診断でした。
その後、1歳を過ぎたときに、食事で出したごく少量の卵白が原因で、全身に赤みや蕁麻疹、顔も腫れ上がってしまったため、急遽血液検査もしました。
離乳食を始める前に、念のためアレルギー検査をしておきたいと思うママやパパもいますよね。
私もそうでした。
ただし検査をする前に、知っておいてほしいことがあります。
それは血液検査の結果が全てではないということです。
手引きには、血液検査で特異的IgE抗体が陽性(感作されている)でも、実際に食物アレルギーの症状が出るとは必ずしも一致しないことを念頭におくべき、と書かれています。
また、原因の食べ物を医師の管理のもとで実際に食べて症状が出るかを確かめる「食物経口負荷試験」は、アレルギーの確定診断や、安全に食べられる量を決めるために行われます。
家族に重いアレルギーを持つ方がいたりして心配な場合は、まず医師に相談してみたほうが良いと思います。
▶ 動画で確認:食物経口負荷試験の流れを見る
藤田医科大学の総合アレルギーセンターが、食物経口負荷試験の手順と安全対策を約3分で説明しています。記事で触れる検査の一つを実際の流れで確認できるため、検査の節に置きます。
出典:総合アレルギーセンター藤田医科大学「食物経口負荷試験」(YouTube・約3分)
食物アレルギーの治療は?

手引きでは、食物アレルギーの管理の基本を「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」としています。
- 食べると症状が出る食べ物だけを除去する(“念のため”“心配だから”と、必要以上に除去する食べ物を増やさない)
- 原因の食べ物でも、症状が出ない“食べられる範囲”までは食べることができる
出典:食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」掲載ページ
なお、原因の食べ物を医師の指導のもとで続けて食べ、量を増やしていく「経口免疫療法」という治療もありますが、手引きでは、安全性への十分な配慮が必要で、一般診療としては推奨されないとされています。
症状が出る量がわからない、または少ない量で症状が出る子に、自宅で量を増やす指導を安易に行うべきではないとも書かれています。
自己判断で量を増やさず、必ず医師に相談してください。
私の娘は卵アレルギーで、2018年当時は専門の医療機関に通院していました。
娘の場合には日帰り入院をして、原因の卵をごく少量から食べ、医師と看護師が15分毎に様子をみてくれる検査を受けました。
症状が酷い場合にはそのまま1泊、何もなければ日帰り退院というシステムでした。
当時、全卵1/8個まで食べられるところまで進んでいました。
費用は病院で異なると思いますが、2018年当時、我が家が通った病院では、大部屋だと入院時の食事代のみの請求で300円前後でした。
私も、娘の卵アレルギーが治るように希望を持って取り組んでいました。
今回は、子供の食物アレルギーの症状や原因、検査や治療の考え方についてお伝えしましたが、いかがでしたか?
- 即時型症状(食べたあと通常2時間以内に症状が出ることが多い)
- 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
- 食物蛋白誘発胃腸症(以前の新生児・乳児消化管アレルギー)
- 命に関わることがあるアナフィラキシーに注意
■乳幼児に多い原因食物
- 鶏卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、木の実類、魚卵など
- 加工食品の表示義務は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目
■アレルギーの検査
- 特異的IgE抗体検査、皮膚プリックテスト、食物経口負荷試験など
- 血液検査が陽性でも、症状が出るとは限らない
■食物アレルギーの治療
正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去(経口免疫療法は一般診療としては推奨されない)
手引きによると、乳児・幼児早期の主な原因である鶏卵、牛乳、小麦は、成長とともに多くは食べられるようになります。
アレルギーの出やすい赤ちゃんから乳幼児期は、大変なこともたくさんありますが振り返ればあっという間の時代。
もし食べ物を口にした後に何か症状が出たり、ママやパパが気になるようであれば、かかりつけ医を受診してみるのもいいですし、それでも不安なら専門医にアドバイスも受けることをおすすめします。
▶ 動画で確認:小児アレルギー専門医が語る対応と治療
小児アレルギー専門医が、原因や検査、負荷試験、将来食べられるようになる考え方まで約20分で解説しています。必要最小限の除去という治療の基本方針とも合うため、治療の節に置きます。
出典:病気事典「【こんな時どうする?】子どもの食物アレルギーの原因と対応を詳しく紹介!」(YouTube・約20分)
